私は祖父の代からこの会社を継いで三代目になります。祖父も父も仕事に関してはとても真面目でした。私が20年以上仕事を続けて感じるのは、この仕事を続けられるのは真面目な人間でないと務まらないということです。屋根工事はとても厳しい環境での作業になります。冬は厳寒の中、かじかむ手を温めつつ震えながら作業し、夏は焼ける瓦や鉄板の上で強烈な日差しにさらされながら作業しています。よっぽど強い精神力がないと、これを一生涯続けるのは並大抵のことではありません。一生懸命、毎日仕事に取り組む弊社の職人にはまったく頭の下がる思いでおります。
私は社員の職場環境の向上のため、冷水服を用意したり足場に日差し避けのシートを掛けたり、いろいろな対策を行っています。そして社員の収入アップのため10年以上前からお客様と直接工事請負を結ぶ「完全元請け化」を実現しました。つまり、ほぼ手間賃だけの工事である下請けでは社員の福利厚生を充実させる利益が生み出せないので、そこから脱却したのです。
台風など災害が起こると一気に忙しくなり、天候が安定する時期は暇になります。年間の仕事量に偏りが出るのですが、どんなに忙しい時でも夏場は完全週休二日とし、定時の16時半に退勤させ、残業はなしとする。そのようにして社員の心身を休ませることとしています。本来あるべき利潤を追求する企業の姿勢としてはありえないと思うのですが、売上が減ったとしても社員を大事にする方を優先しているのです。
社員を大事にする姿勢と工事に真摯に取り組む姿勢に共通するのは「優しさ」だと思います。「優しさ」をもって工事にあたれば良い仕事ができます。時間を惜しまず、手間暇をかければ長持ちさせることができる。良い仕事を続ければまた工事を依頼される。こうした好循環を生むことが出来ると思います。私は「優しさ」をもって長期間に渡り持続可能な経営を行ってまいりたいと思います。
代表取締役 佐藤 貴明